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ビルオーナーや管理会社に出す資料が「作業項目と金額の一覧」で止まっている限り、比較されるのは価格だけです。仕様書どおりの見積書は、どれだけ丁寧に作っても「同じものを、より安く出せる会社」に負けてしまいます。
提案資料の役割は、値上げの理由を説明することではありません。発注者側の支出を減らす、あるいは資産価値を上げる打ち手を提示して、価格以外の判断軸をつくることです。
この記事では、自社が出せる提案ネタを「効果×実施難易度」のマップで棚卸しする方法と、提案資料に必ず入れる6要素、そして発注者に響く数値の作り方を整理。担当物件を持つ営業担当がひとりで着手できる部分と、営業責任者・営業企画が仕組みとして整える部分を分けて書いています。
ビルメンテナンスが価格競争に流れやすい理由は、業界構造にあります。公益社団法人全国ビルメンテナンス協会は、その原因として「清掃されていて当たり前」「設備が動いていて当然」とみなされやすく品質の違いが見えにくいこと、そして仕様書によって作業頻度や回数が決まっており提案の余地が少ないことの2点を挙げています。仕様が先に決まっている発注では、比較できる項目が金額しか残りません。
つまり、価格競争は営業力の問題ではなく「提案が入る隙がない発注形式」の問題です。ここを動かさずに単価を守ろうとすると、値上げ交渉という消耗戦だけが残ります。
参照元:公益社団法人全国ビルメンテナンス協会公式HP(https://www.j-bma.or.jp/notice/113902)
本題に入る前に、確認しておくべきことがひとつあります。その提案は、誰に届けば意思決定に乗るのかです。
後者の場合、オーナーの決算期や稟議ルートは窓口担当者に教えてもらう情報になります。いきなりオーナーの経営課題から書き始めると、窓口担当者に「うちを飛ばす気か」と受け取られることがあるため、提案の宛先は最初に握っておいてください。
コスト側の圧力は年々強まっています。2025年度(令和7年度)の地域別最低賃金は全国加重平均で1,121円となり、前年度から66円引き上げられました。この66円は、1978年度に目安制度が始まって以降で最も大きい引上げ額です。最低額の県でも1,023円となり、すべての都道府県で1,000円を超えました。
参照元:厚生労働省公式HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html)
価格転嫁の後押しとなる制度も動いています。内閣官房・公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」は2026年1月1日施行の改正版が公表されており、価格転嫁に向けた取組事例が追加されました。全国ビルメンテナンス協会は、この指針を踏まえた業界独自の自主行動計画を2024年6月に策定(2025年3月に改訂第2版)しています。
交渉の材料として使える公的単価も更新されています。国土交通省が公表した令和8年4月から適用する建築保全業務労務単価は、対前年度比8.5%の引き上げとなりました。自社の契約改定率がこの水準に追いついているかは、価格交渉の前に確認しておく数字です。
参照元:公正取引委員会公式HP(https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/romuhitenka.html)
参照元:国土交通省公式HP(https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen03_hh_000071.html)
人の供給側も厳しくなっています。厚生労働省の資料によれば、ビルクリーニング業の有効求人倍率は約2.0〜3.0倍の間でほぼ横ばいに推移しており、地域による偏りもほとんどありません。全職業計の有効求人倍率が令和7年度平均で1.20倍であることと比べると、業界の逼迫度がわかります。年齢構成も偏っており、ビル・建物清掃員は60代以上が全体の57.9%、70代以上が27.0%を占めます(令和2年国勢調査ベース)。人が採れず、単価が上がる。この前提は変わりません。
だからこそ、値上げ交渉と並行して「発注者側の支出を減らす提案」を持つ必要があります。自社の原価上昇を説明する資料と、発注者の支出を減らす資料は、まったく別のものです。
参照元:(Pdf)厚生労働省公式HP(https://www.mhlw.go.jp/content/11157000/000505112.pdf)
オーナーが本当に見たいのは、作業が仕様どおり行われた記録ではなく「自分の資産がどう保たれ、どう良くなったか」です。
順序が逆になっているのが要点です。作業記録を先頭に置くと「やった証明」の書類になり、サマリーと改善提案を先頭に置くと「経営判断の材料」になります。提案資料も同じで、結論と提案を先に、根拠を後ろに置きます。
提案ネタは、思いついた順に出すものではありません。効果と実施難易度の2軸で並べ替えると、どこから提案すべきかがわかりやすくなります。
効果は発注者側の削減額を円/年に換算し、大小を分ける基準額を自社で1本決めます(たとえば年間30万円)。換算できないもの(リスク回避、テナント満足)は「不明」と書いて残します。
難易度は感覚で決めず、次の4軸を各0〜2点で採点し、合計点で判定します。
| 軸 | 0点 | 1点 | 2点 |
|---|---|---|---|
| 工事 | 配管・躯体に手を入れない | 軽微な工事で済む | 本体更新や配管工事を伴う |
| 停止 | 断水・停電なし。共用部の一時使用制限で足りる | 短時間の停止で済み、事前告知で対応できる | 断水・停電、またはテナント専用部への立ち入りが必要 |
| 発注者側の稟議 | 現行の管理予算の枠内で判断できる | 修繕費として単独の稟議が必要 | 資本的支出となり、決裁レベルが上がる |
| 自社の実施負荷 | 現行の点検・清掃の巡回手順に組み込める | 手順書の改訂と教育が必要 | 増員、または新たな有資格者が必要 |
合計0〜3点を「低」、4〜8点を「高」とします。この線引きも自社で固定してください。
| 実施難易度:低(0〜3点) | 実施難易度:高(4〜8点) | |
|---|---|---|
| 効果:大 | ①まず着手する ・節水機器の後付け導入 ・廃棄物の分別と回収頻度の見直し ・微少漏水の調査と是正 ・清掃仕様(頻度・範囲)の再配分 |
②仕込んでから出す ・共用部のLED改修 ・空調の運転スケジュール見直し ・事後保全から予防保全への移行 ・人的警備の一部を機械警備へ置換 |
| 効果:小 | ③他の提案に添える ・空調フィルター清掃頻度の最適化 ・無停電点検への切り替え ・点検報告書のデジタル化と可視化 |
④提案しない ・貯水槽、給排水設備の単独での更新提案(長期修繕計画に載せる話であり、単独の提案ネタにはしない) |
採点した結果は、次の形の一覧にして手元に持ちます。「自社側の位置づけ」は社内管理用の列です。
| 提案ネタ | 工事 | 停止 | 稟議 | 負荷 | 合計 | 象限 | 自社側の位置づけ(社内用) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 節水機器の後付け導入 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ①まず着手する | 点検項目に組み込むことで受託範囲が広がる |
| 廃棄物の分別と回収頻度の見直し | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | ①まず着手する | 削減実績として次回更新の交渉材料になる |
| 微少漏水の調査と是正 | 1 | 1 | 1 | 0 | 3 | ①まず着手する | 現場を持つ自社しか出せない一次情報が使える |
| 清掃仕様(頻度・範囲)の再配分 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | ①まず着手する | 人手不足への対応と両立できる |
| 共用部のLED改修 | 1 | 1 | 2 | 0 | 4 | ②仕込んでから出す | ランプ交換工数が減り、自社の負荷も下がる |
| 空調の運転スケジュール見直し | 0 | 1 | 1 | 2 | 4 | ②仕込んでから出す | テナント調整の実績が信頼につながる |
| 事後保全から予防保全への移行 | 0 | 0 | 2 | 2 | 4 | ②仕込んでから出す | 年間契約の単価維持につながる |
| 人的警備の一部を機械警備へ置換 | 1 | 0 | 2 | 1 | 4 | ②仕込んでから出す | 人手不足の物件で契約を維持できる |
| 空調フィルター清掃頻度の最適化 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | ③他の提案に添える | 他の提案の付随項目として出す |
| 無停電点検への切り替え | 1 | 0 | 1 | 1 | 3 | ③他の提案に添える | テナント満足の材料になる |
| 点検報告書のデジタル化と可視化 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | ③他の提案に添える | 報告品質の向上として管理会社に効く |
| 貯水槽、給排水設備の単独更新 | 2 | 2 | 2 | 1 | 7 | ④提案しない | 単独では出さず、長期修繕計画の中に置く |
効果側の理由ではなく、難易度側の理由で説明できるのがこの施策の特徴です。前掲の採点表で採点すると、共用部の手洗いや清掃用水を対象にする場合、4軸のいずれも0点に近い値で収まります。
ただし、これは無条件ではありません。テナント専用部を対象にすれば停止と調整が発生して停止の点数が上がり、便器の更新まで踏み込めば工事と稟議の点数が上がります。どこを対象にするかで合計点が変わり、象限も変わるため、対象範囲を先に決めてから採点してください。装置の類型と適用箇所は節水装置の種類と選び方で、対象箇所ごとの削減余地はビルの水道代を削減する方法で整理しています。
受託物件に増改築の計画がある場合は、省エネの観点を含めた提案が通りやすくなります。2025年4月から、原則すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられました。対象は新築および増改築で、既存建築物をそのまま使い続ける場合に直接の適合義務はありません。既存物件では「義務だから」ではなく、オーナーの省エネへの関心が高まっている状況を提案のきっかけとして使う、という位置づけになります。
設備の更新提案では、メーカー推奨年数での定期交換(時間基準保全=TBM)から、振動値や温度のトレンドを見て実際の劣化に合わせて交換する状態基準保全(CBM)への移行が、協会記事でも提案手法として挙げられています。「◯年間で修繕コストを約◯%削減」という形で定量化して出すのが型です。補助金が使える施策については節水・省エネ設備で使える補助金制度も確認しておくとよいでしょう。
参照元:国土交通省公式HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/01.html)
参照元:公益社団法人全国ビルメンテナンス協会公式HP(https://www.j-bma.or.jp/notice/113902)
営業担当がひとりで、担当物件だけで始める場合(ステップ1〜3)
ここまでで、断られていた提案の多くが②の象限(効果は大きいが難易度も高い)に集まっていたことに気づくはずです。そのうえで、担当物件ごとに①の象限から1つ選んで出すところから始めます。全部出すのではなく、1物件1提案です。
営業責任者・営業企画が仕組みとして整える場合(ステップ4〜5)
採点がずれる典型は「自社の実施負荷」です。同じ施策でも、現場を知っている担当者は2点、知らない担当者は0点を付けます。ここを2人で突き合わせるだけで、マップの精度が上がります。ネタを増やす前に、置き場所を直すほうが早く効きます。
ここからは、資料に載せる情報の中身を「何の情報を持っていれば資料が成立するか」に絞って解説します。
提案の冒頭に置くのは、自社のサービス説明ではなく発注者側の目標です。オーナーの目標(収益の最大化/支出の削減/資産価値の維持)から、必要な要素(テナント満足度、安全・安心、省エネ運用、ライフサイクルコストの低減)へ、そこから自社の行動目標へと降ろします。
管理会社経由の場合は、この階層に一段挟まります。オーナーの目標に加えて、窓口である管理会社の目標(管理受託の継続、クレームの削減、オーナーへの報告品質)にも接続させてください。この接続がないと、どれだけ良い施策でも「それで?」で終わります。逆に接続ができていれば、金額が小さい提案でも検討の対象になります。
比較の起点がない提案は評価できません。何を測ってベースラインにするかを決め、数値と出所をセットで持ちます。
参照元:公益社団法人全国ビルメンテナンス協会公式HP(https://www.j-bma.or.jp/notice/113902)
マップは社内の整理用ではなく、提案資料に載せる表です。「複数の選択肢を検討したうえで、この物件ではこれを推す」という思考の跡が見えるほうが、単独の施策を推すよりも通ります。発注者から見れば、他の選択肢を検討していない提案は比較材料が足りません。
ただし、社内管理用に付けた「自社側の位置づけ」の列は外して出します。載せるのは、発注者側の効果と難易度だけです。4軸の点数まで載せるかは相手によりますが、合計点だけにして「なぜその難易度なのか」を口頭で補うほうが、資料は読みやすくなります。
効果の数値には、必ず次の3点を添えます。
たとえば「出所=検針票2025年4月〜2026年3月、対象=共用部の手洗い分(年間使用料の約14%)に削減率20〜35%、除外=テナント専用部および空調補給水」と書きます。前提を先に書くと数値の信頼度が上がり、後で数値がずれたときにも説明が成立します。
なお、削減額そのものの算定方法や投資回収期間の求め方は下記にまとめているので、計算はそちらの手順に沿ってください。
節水投資の投資対効果(ROI)の考え方と
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「誰が、いつ、どこまでやるか」に加えて、止まるのか・戻せるのかを書きます。発注者側の稟議で障害になるのは、多くの場合効果の大小ではなく、この2点です。
現場の作業が増える施策なら、増える分を自分から書きます。隠しても導入後に必ず出てきますし、書いてある提案のほうが信用されます。ここは難易度採点の「自社の実施負荷」で付けた点数がそのまま材料になります。導入後の点検・清掃をどう手順に組み込むかは、下記をご確認のうえ体制側の説明とセットにしておくと提案の説得力が上がります。
1案だけを持っていくと判断は「やるか、やらないか」になりますが、3案あると「どれにするか」に発展しやすくなります。
| 案 | 内容 | 発注者側の負担 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| A案:買い取り導入 | 設備を購入して全面導入 | 初期投資が発生。資本的支出の稟議が必要 | 予算が確保できている/長期保有物件 |
| B案:レンタル・費用計上型 | 初期費用を抑えて導入 | 月額の費用計上で済む場合がある | 期中で予算枠がない/稟議を軽くしたい |
| C案:段階導入(パイロット) | 1棟または1フロアで先行実施し、検証後に展開 | 負担は小さいが、効果確認までの期間が必要 | 判断材料が足りない/複数物件を保有 |
B案を選ぶと採点表の「発注者側の稟議」が2点から0〜1点に下がり、「②仕込んでから出す」の象限にあったネタが「①まず着手する」に移ることがあります。難易度は固定値ではなく、契約形態で動かせます。B案の考え方は下記で詳しく解説していますので、どうぞご覧ください。
削減率は現場の言葉、金額は経営の言葉です。まず円/年に直します。そのうえで、オーナーが不動産の言葉で考えている場合には、年間の支出削減額が純収益(NOI)の改善としてどう効くかまで触れると、話が投資判断の土俵に乗ります。
ただし、還元利回りを使った資産価値への換算はオーナー側の前提に依存します。自分で数字を作り込むよりも、「年間◯円の支出削減は、還元利回り◯%で評価する場合、資産価値に換算するとどう見えますか」と投げたほうが安全です。管理会社経由の場合は、この質問自体を窓口担当者に預けるほうがうまくいきます。
節水投資の投資対効果(ROI)の考え方と
シミュレーション例はこちら
1点の数字は疑われます。「保守ケース/標準ケース」の2本で出し、保守ケースの前提を明示します。効果が出なかった場合の対応まで書いてあれば、数字の信頼性はむしろ上がります。
物件間・年度間で比較できるように、㎡あたり・室あたり・在館人数あたりのいずれかに正規化します。複数物件を受託している場合はこれが必須です。物件ごとに延床面積も稼働率も違うため、総額のままでは「高いのか安いのか」が判断できません。
計算の前に、材料を集める工程があります。ここを現場任せにすると提案の質が安定しません。
水道代であれば、上水・下水・基本料金の内訳が分かる形で12か月分を集めます。多くの物件で、この資料は経理やオーナー側にあり、現場に共有されていません。「削減余地を確認したいので、直近12か月分の水道の検針票または請求明細を共有いただけますか」と依頼するだけで手に入ることがよくあります。管理会社経由の場合は、依頼先が窓口担当者になります。
蛇口や便器の数と設置箇所、便器の年式、冷却塔の有無、給湯設備の仕様。数量が分からないと提案の規模が決まりません。採点表の「工事」の点数も、ここが分からないと付けられません。
ここが、現場を持っているビルメンテナンス会社だけが取れるデータです。
メーカーやコンサルには取れない情報で、提案の差別化点になります。漏水が疑われる場合の確認方法については、下記をご覧ください。
施設管理で注意すべき漏水リスクと
水道メーターによるチェック方法はこちら
すべてのデータが揃うまで提案を止める必要はありません。空欄にせず「未取得」と明記し、暫定の前提を置いて進めます。前提が書いてあれば、後から数値が変わっても提案は破綻しません。
水道代の提案で最も多い空振りが、これを確認しないまま進めるパターンです。共益費に定額で含まれている物件なら、使用量が減った分はオーナーの手残りになります。一方、子メーターを設置して使用量に基づいて実費精算している物件では、削減分はテナント側に戻り、オーナーの支出は減りません。
後者の物件では、訴求軸を「支出削減」から「テナント満足・クレーム減・ESG対応」に切り替える必要があります。マップ上でも、効果は円/年ではなく「不明」として置き直すことになります。提案の前に、賃貸契約書の費目区分・子メーターの設置状況・テナントへの請求方式の3点を確認してください。
同じ節水でも、水を多く使う箇所と提案の勘所は物件の用途で変わります。受託物件の種別に応じて、下記も確認しておくと提案の精度が上がります。
| 物件種別 | 水を多く使う主な箇所 | 詳細 |
|---|---|---|
| オフィスビル・商業ビル | 共用部トイレ、清掃用水、冷却塔の補給水 | ビルの水道代を削減する方法 |
| ホテル・旅館 | 客室の浴室・シャワー、リネン、厨房 | ホテル・旅館の節水対策 |
| 病院・医療施設 | 手洗い、器具洗浄、給湯 | 病院・医療施設の節水対策 |
| 介護施設・老人ホーム | 入浴設備、厨房、洗濯 | 介護施設の節水対策 |
このほか、受託先にジム・プールや温浴施設、飲食店・スーパー、学校・教育施設、調理施設・社員寮が含まれる場合は、それぞれの解説もあわせて確認してください。
導入後の点検や清掃の手順に組み込めない施策は続きません。前掲のとおり、ビルクリーニング業では人手不足と高齢化が同時に進んでいます。作業の標準化・マニュアル化ができる範囲に収まっているかが、提案の実現可能性を決めます。これが採点表の「自社の実施負荷」で0点を付けられる条件です。メンテナンスまで自社で担える形にできれば、受託範囲が広がり、次の契約更新でも効いてきます。
製品カタログをそのまま束ねた資料は、発注者から見れば「メーカーの営業を取り次いだだけ」に映ります。現場から取った一次情報を1枚でも入れて、自社が診断した提案であることを示します。
効果の大きい施策は、たいてい難易度も高いものです。難易度を書かずに効果順で並べると、②の象限にあるネタが先頭に来ます。マップを併記すれば、この並べ方は自然に直ります。
導入後に発覚すると、施策そのものへの信頼が落ちます。増える手間と、それを誰が担うかを先に書きます。難易度採点の「自社の実施負荷」で2点が付いた施策は、この説明を省くと現場から反発が出ます。
期中で予算枠がない時期に資本的支出の提案を出しても通りません。次期予算に載せる動きにするか、費用計上で済む形(B案)に変えるか、どちらかを選びます。オーナーの決算期と予算編成の時期は、最初のヒアリングで確認しておく項目です。管理会社経由の場合は、窓口担当者に「オーナーの予算の締めはいつか」を聞くところから始めましょう。
ビルメンテナンスの価格競争から抜け出す鍵は、単なる作業記録から発注者の課題を解決する「提案」へ切り替えることです。特に節水は導入ハードルが低くビル管理の経費削減に大きな効果を発揮するため、まずは自社の施策を「効果×難易度」マップで整理し、価格以外の価値を示す一歩を踏み出しましょう。
アースアンドウォーターの
節水システム
省エネ大賞受賞
節水装置「エコタッチ」
アースアンドウォーターの節水システムは、省エネ大賞受賞※3の「エコタッチ」「エコアス」などを使ったレンタル型の節水システムを提供しています。
12穴による段階調整で30〜90%※1の節水が可能で、空気を含ませる構造により快適な使用感を維持。年1回のメンテナンスや修繕サービスも付帯し、専用レポートで効果を「見える化」します。さらに、約1万施設※2に導入されており、レンタルの更新率は98.5%※4とお客様満足度が高い企業です。
節水効果を維持するためには、各装置の水量が適正に保たれているか定期的に確認するメンテナンスが欠かせません 。同社では、回収した節水装置を超音波洗浄した後にオートクレーブにより滅菌処理を施し 、メンテナンス時に衛生的な装置へと交換する「リバースメンテナンス」を実施しています(レンタル契約対象) 。専門的な処理による徹底した衛生管理が行われるため、長期間でも安心して運用できる体制が整っています。
(※1)参照元:アースアンドウォーター公式HP
(https://e-water.co.jp/products.html)
(※2)参照元:アースアンドウォーター公式HP(2025年8月時点)
(https://e-water.co.jp/)
(※3)参照元:アースアンドウォーター公式HP
※2008年度省エネ大賞受賞
(https://e-water.co.jp/products.html)
(※4)参照元:アースアンドウォーター公式HP(2025年8月時点)
(https://e-water.co.jp/)