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節水投資の投資対効果(ROI)の考え方とシミュレーション例

節水装置を導入することで水道費などの経費を削減できたとしても、節水装置の導入や運用にかかるコストが削減分を上回ってしまえば、結果として経費負担は増大し利益率も低下します。

そのため節水装置の導入メリットや長期的な有用性を判断するためには、必ず自施設にとっての「投資対効果(ROI)」や投資回収期間などを事前に試算し、使用感や業務作業への影響なども含めて総合的に検討することが重要です。

なぜ節水投資の「投資対効果」を事前に把握すべきなのか

適切な節水装置は、各施設などにおいて日常的に使用する水量を抑えながら、水圧の変化といった使用感への影響も軽減するなど、様々なメリットを追求できるコスト削減に有用なソリューションです。しかし節水装置の導入には初期コストがかかり、適正な節水効果を維持するためには相応のランニングコストをかけてメンテナンスなどを行わなければなりません。

そのため事業戦略として節水装置を導入するには、まず導入メリットを客観的に検証できるよう、数値による定量的な根拠を提示した上で稟議を通すことが必要です。

また、高額な省エネ設備投資と比較して、節水装置の導入がどれだけコストメリットを高められるか把握することは、導入の動機づけにも役立ちます。

節水投資の投資対効果(ROI)とは?基本の考え方

「投資対効果(ROI:Return on Investment)」とは、投資した費用に対して、どの程度の利益を得られたのかを示す指標です。

なお、近しい概念として「費用対効果(CEA:Cost-Effectiveness Analysis)」がありますが、こちらは一般的に短期的な施策や取り組みの有効性を判断する際に用いられます。

大規模な節水装置の導入戦略などの場合、節減された経費で初期投資の金額を回収するまである程度の期間がかかるため、長期的な視点からROIを考えることが肝要です。

ROIの基本計算式

ROIは基本的に以下の計算式で表されます。

なお「利益」は年間で得られる売上から、年間の経費を差し引きして得られる金額であり、経費には節水装置の維持・運用にかかるランニングコストも含まれますが、ROIを考える際の利益は「(対象期間の)投資によって得られた利益額」となる点に注意してください。

例えば節水装置の購入費が10万円として、水道代の削減効果が導入後1年で22万円だった場合、1年経過時点のROIは「22万÷10万×100=220%」になり、節水装置を使い続けるほど利益が増えてROIも高まっていく可能性があります。

通常、ROIが高いほど投資効果は優れていると考えることが可能です。

投資回収期間の計算式

投資回収期間とは、投資によって得られた金額が、初期投資として費やした金額に等しくなるまでにかかる期間です。

基本的な考え方として、投資回収期間は以下のような数式で表されます。

例えば100万円の初期投資を行ったとして、それによって得られる金額の収支が年間20万円であった場合、初期投資の回収にかかる期間は「100万円÷20万円=5(年)」となります。そして、さらに6年目からは削減額を全て「利益」と考えることが可能です。

なお、レンタル型の節水装置のように初期投資のコストがかからないパターンであれば、導入初年度や導入初月から削減額を利益として計上できることもあるでしょう。

投資の利益は回収期間を終えた後から発生する

毎年の削減額によって初期投資の金額を回収できるまでは投資回収期間となり、投資による利益は発生していないものと考えます。

一方、投資回収期間を経た後に投資効果で発生する削減額は、経費を除いて全て投資の利益として計上し、ROIの計算に当てはめられることがポイントです。

そのため初期投資の金額が大きいほど投資回収期間が長くなり、投資メリットを得るまでには長期の運用が必要になるということになります。また節水装置による削減額を長く維持できるほど、投資による利益は増大し、ROIも高くなっていくという仕組みです。

節水投資で考慮すべきコスト項目

節水装置の導入や運用を「節水投資」として考える場合、実際には様々な種類の費用を計算に組み込むことが必要となります。

初期費用(イニシャルコスト)

節水装置の購入費や設置工事費といった、導入にかかる費用は初期投資額として計算し、初年度にのみ発生します。

運用経費(ランニングコスト)

節水装置のメンテナンスや消耗品の交換にかかる費用、また関連サービスの利用料といった運用に対して必要な費用は初年度以降も継続して発生することが重要です。

通常、節水装置で得られる経費削減額からランニングコストを引いた金額が、節水投資によって得られるメリットとして考えられます。

間接効果(水道代以外の削減額)

節水装置を導入することで削減できる経費は、水道代の他にも、下水道使用料や水を温めるための光熱費など複数のものが考えられます。特に温水使用量の減少による光熱費の削減効果は見落としがちなポイントなので注意してください。

【施設タイプ別】節水投資のROIシミュレーション方法

ここでは参考として、施設ごとのROIシミュレーションの考え方についてまとめていますので参考にしてください。なお、使用している数値は全てリサーチにもとづいた概算値であり、実際の費用とは異なる可能性があります。そのため、自社のROIシミュレーションでは必ず自社のデータにもとづいて試算してください。

ホテル・旅館のシミュレーション例

ホテルや旅館における節水投資の実例を紹介します。

この事例にもとづいてROIを計算する場合、年間の経費削減額は約276万円となり、初期投資額を276万円で割った数値が投資回収期間となります。そのため、もしレンタル型で初期投資額が0であった場合、導入初年度から276万円の利益を生む計算となります。

あるいは初期費用が発生するパターンであっても、投資費用の回収後は毎年276万円の経費削減が叶えられることとなり、例えば10年その状態を維持できればその総額は約2760万円となります。そのため、仮に10年間のROIを試算すれば、「2760万」を初期費用で割った金額に100を乗算した数値となり、例えば初期費用が100万円であればROIは2760%となるでしょう。

※引用元:アースアンドウォーター公式HP
(https://e-water.co.jp/voice.html)

病院・介護施設のシミュレーション例

病院・介護施設の事例で計算してみました。

節水装置を導入した病院によれば、年間の節水率が6.7%で、毎年およそ18.5万円の削減効果を得られているということのようです。

投資回収期間は初期費用の金額によって異なりますが、例えばレンタル型など初期費用を抑える方法で導入を行っていた場合、早期の段階からROIを100%以上に高められる可能性があります。

※引用元:アースアンドウォーター公式HP
(https://e-water.co.jp/voice.html)

ジム・温浴施設のシミュレーション例

ジム・温浴施設についても以下のような事例が参考になります。

ジムや温浴施設はホテルや病院と比較して水道の使用量が多いため、必然的に節水率も大幅に向上している点が特徴です。また、それに伴って温水使用にかかる光熱費も削減できるため、実際の経費削減効果は以下の数値より大きくなると考えられます。

※引用元:アースアンドウォーター公式HP
(https://e-water.co.jp/voice.html)

節水は他の省エネ投資と比べてどれだけ有利か

省エネ設備(空調・照明)との投資回収期間の比較

投資回収期間で比較すれば、業務用空調設備(5~7年程度)やLED照明(3〜5年程度)といった省エネ設備に対して、節水装置は導入方法によっては約1年で投資回収が完了する場合もあり、投資メリットを早期に得られる点で有利です。

「レンタル型」なら初期投資ゼロでスタート可能

レンタル型であれば初期費用を抑えられるため、毎月のレンタル料を経費として差し引いたとしても、削減効果によって導入初月から利益を得られる可能性もあります。

そのためレンタル型の導入プランに対応している事業者を見つけることで、自施設に適した投資戦略を構築できます。

節水投資で活用できる補助金・支援制度

水の節約に加えて二酸化炭素排出量の削減にも寄与する節水装置は、その導入などに関して省エネ補助金や各自治体などが実施している支援制度などを利用できる可能性がある点も重要です。

各種補助金を活用すれば、それだけ初期費用を節約し投資回収期間を短縮できます。

【法人・施設向け】節水設備に使える
補助金制度まとめ

まとめ:施設の節水投資は「投資対効果の高い経営判断」

節水装置は導入直後から節水効果として水道代の削減といったメリットを得られる上、レンタル型など初期費用を抑えられる導入法を活用すれば、迅速に利益に結びつけて投資対効果(ROI)を高められることが特徴です。また補助金や助成金を活用できる可能性もあり、施設ごとに多角的な経営戦略や投資戦略を考えられる点が節水投資の強みと言えます。

節水投資を経営戦略に盛り込む場合、まずは専門家へ相談し、具体的のどの程度のROIを目指せるのか適切な調査結果やシミュレーションにもとづいてチェックすることから始めましょう。